朝目が覚めたら、リビングのソファーで寝ていました。何も思い出せない。
確か昨日は、お妙ちゃん達と合コンみたいな集まりに行って、お酒…。あ、飲みすぎたんだ。だからなのか頭がすごく痛い。二日酔いは勘弁してほしい。でも今日が休日で助かった。

とりあえず、朝ごはん食べようと思って台所に向かおうとしたら、丁度退くんが出てきた。



「おはよう!」

「…う、うん」

「今からご飯作ろうとしたんだけど、お粥でいい?あんまり食欲ないから」

「うん。オレもお粥な気分」

「じゃあ決まり!」



早速私は、丁度残っていた白米を取り出した。鍋にお水を入れて準備をしていると、不意に退くんと目が合った。見つめ返すと顔を反らされた。…私酔ってる時に何か変なことしたの、かな?

ぐつぐつと白米と水の入った鍋を見ているながら考えた。
お酒を頼んだところまではきっちり覚えている。私が無事に家に帰れたってことは、退くんが連れてきてくれたんだよね、きっと。その時なのかな。
悩んでいても仕方がないから、直接聞こう。



「…退くん」

「ん?」

「私、酔ってる時に何かしたかな?」



私の質問を聞いて、少しため息をついていた退くん。あー…もしかして取り返しのつかないことでもしたのかな。うーんと考えていると、退くんがようやく答えてくれた。



「モコちゃんは何もしてないよ」

「じゃあ、何で私と目合わせてくれないの?何かあったからじゃないの?」

「何にもない!気のせいだよ!」

「…そうかな」



必死に否定している退くんを見て、これ以上問いつめるのは悪いから諦めた。
でも絶対何かあったような顔してる。まぁ、そこまで酔ってしまった私もいけないんだけどね。

出来上がったおかゆを机に置いた。おかゆなんて誰が作っても同じようなものだから、美味しいって言われても嬉しく…いや、やっぱり嬉しい。おかゆ全部を胃に入れたあと、退くんはちょっと出掛けてくるって言って出ていった。その間私は、頑張って昨日起こったことを思い出そうとしていた。

やっぱり覚えてる人に聞いた方が早いよね。まずはお妙ちゃんに電話してみようかな。近くに置いてある携帯を取って、電話帳からお妙ちゃんの名前を探して通話ボタンを押した。



『もしもし。モコちゃん?』

「お妙ちゃん。こんな朝早くにごめんね」

『平気よ。でもこんな時間にどうかしたのかしら?』

「昨日の合コンの話なんだけど、私がお酒飲んだ後、何かあったのかな?退くんが不機嫌なの…」

『あー…なるほどね…』



そう言ってお妙ちゃんは黙った。もしかして、相当ヤバいことしちゃったのかな!?
一人で必死に頭を回していると、お妙ちゃんの声がまた聞こえてきた。



『モコちゃん。これ聞いても驚かないって約束してくれる?』

「う、うん…!」

『モコちゃんが酔った後ね、沖田くんとキスしちゃったのよ。二人とも完璧に酔ってたからその場のノリみたいな感じだったけど…』

「あ、あ…ありがとう、お妙ちゃん。電話もう切るね」

『分かったわ』



携帯の電源ボタンを押して、通話を終了した。

私が沖田さんと、キスをした?でもそういわれると、どんどん記憶が戻ってきたような気がした。…そうだ。沖田さんの顔がスゴく近かったのを覚えてる。その時だ。でも、顔が近いのは沖田さんだけじゃなかった気がする…あ。

沖田さんとのキスの記憶と同時に別の記憶も思い出してしまった。退くん…とも、キス…した。キスされた。だからあんなに様子が変だったんだ。でも何で?何で私にキスしたんだろう?

その日の休日は退くんで頭がいっぱいだった。




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