何だかもう合コンの雰囲気じゃなくなってきた。土方さんはお妙ちゃんの卵焼きでダウンしてるし、沖田さんと神楽ちゃんはさっきよりかは落ち着いてるけど、まだ喧嘩してる。
カオスな合コンだな。
「モコちゃん。お酒飲む?」
「折角だから久しぶりに飲もうかな。こういう場所しか飲めないし」
「じゃあ頼むわね」
「ありがとう」
私とお妙ちゃんの会話に驚いている退くんがいた。
「どうしたの?」
「あ、いや、モコちゃんもお酒飲むんだなって思ったから」
「私だって飲むよ!…そんな強くはないけど」
「そうなんだ。じゃあオレも頼もうかな」
「退くんもお酒飲むの意外だよ」
「そうかなー?」
お妙ちゃんに「はい来たわよ」っと私の前に置いてくれた。私がお礼をいうと、微笑みながらこう言ってきた。
「あなた達、何だか恋人同士の会話に見えたわ。もしかして付き合ってるのかしら?」
「ちが、違うってお妙ちゃん!退くんとはただのお友達だよ!そうだよね?」
「う、うん…」
私は恥ずかしくなってお酒を飲み始めた。
――――――
それから何分経ったんだろう。いや、何時間かもしれない。私は、お酒を飲みすぎてかなり酔ってしまった。
沖田さんもいつの間にかお酒が入ってたみたいで、楽しく話し込んでしまった。思ったよりも近い距離に沖田さんがいて吃驚したけど、酔いに入ってしまった私にはそんなの関係なかった。
「モコはいい匂いがしやすね」
「そうかなー?うふふ、ありがとう。でも沖田さんもいい匂いだよー?」
「そりゃあ嬉しいね。そんなに褒めてくれるのモコだけですぜィ?」
「ふふふ」
こう見ると沖田さんって子供みたいで可愛い。思わずジーっと眺めていたら、沖田さんの顔がどんどん近づいてきた、と思ったら離れていった。私の頭の中ははてなだらけだった。何されたのか全然分からなかった。
「姉御。今日はもお開きしませんか?会計はオレ達で済ましますから」
「そうね。そろそろいい時間だしお開きしましょうか。モコちゃん平気かしら?」
「あ、オレが連れて帰りますから平気です」
「山崎さんはモコちゃんが本当に好きなのね。ありがとう」
「オレが好きにやってることですから」
「ほら、モコちゃん帰ろう?」と言われた私は頷いた。
お店から出て、電車の中では頑張って大人しくして、地元についたときは何が何だかわからなくなるほど、酔いがまわっていた。ほとんど歩ける状態じゃなくなった私を家までおぶってくれた。
「退くん。何かごめんねー」
「…」
「退くーん?退くん?…退?」
「何?」
「さっきからボーっとしてる。何かあったのー?」
私の質問に答えないまま黙っている。決意を決めたのかようやく口を開いた。
「沖田さんと何してたの?」
「んー…楽しくお話してたよー。あとね、分からないけど沖田さんの顔とこっつんこするぐらい近かったよ?」
「こんぐらい?」
「そうそう!それで、んっ」
退くんも沖田さんと同じくらい顔が近くなったと思って、その後どうなったか話そうとしたら、唇を唇で塞がれた。
「…ごめん」
そう言うと退くんは自分の部屋に戻っていった。
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