退くんと同棲を決めた私。今日は本格的に必要なものを買いに来た。給料ももらったから今回は退くんに頼らなくても大丈夫だ。
「とりあえず、しまうための箱とか買おうかな…」
「小さいタンスとか買う?」
「そっちのほうがいっか。よし、小さくて可愛いタンス探しに出発ー」
カートを押しながら探しにいった。
さすが家具専門店。色んなデザインがあって迷うのが当たり前になっていた。
自分の気に入ったタンスや枕とかをかごに入れていった。
「食器コーナーだ…」
「食器は必要な分が家にあるから大丈夫だよ」
「…私、退くんと色違いの食器とか欲しい、って考えちゃった。買っちゃ…ダメ?」
「う、…ダメ、じゃない」
「本当…!じゃあ私選びにいってくるね!」
そう言って私は食器コーナーに直行した。
「あ、これ可愛い」
ピンクと緑の二種類の色がある周りが水玉模様のお皿。このシリーズがフォーク、スプーンがあったから迷わずかごに入れた。
いい買い物をしたなー。
――――――
家に着いて買ってきたお皿とかをしまった。
退くんが私の部屋を用意してくれたから一緒に休憩した。
「何にもないってなんか落ち着く…」
「そうかな?オレは逆に不安になる」
「不安?」
「うん。何にもない場所に一人でいるって、心細いっていうか寂しくて人肌が恋しくなる」
「じゃあこうしていたら不安じゃないよね」
私は自分の手を退くんの手に重ねた。冷たい退くんの手。それを温めるようにぎゅっと力を入れた。
「モコちゃんの手って温かいね」
「でも、手が冷たい人は心が温かいっていうよ?」
「そんなことないよ」
こんな時間でも幸せだな。
そのまま私は眠りについてしまった。
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