「退くん、おはよう」
「う、うん。おはよう…」
昨日からモコちゃんの案で名前で呼びあうようになった。少しだけ発展があるのは嬉しいけど、好きな子から名前を呼ばれるのってこんなにドキドキするなんて知らなかった。
おかげで昨日は全然眠れなくて寝不足だよ…。これからずっと名前を呼ばれるって考えると…あー!静まれオレの心臓!!
「ああああああああ!!」
「っ!?さ、退くん…?急に叫んでどうしたの?」
「え、あ、何でもないから!」
「そう?私、もう朝ごはん食べたから行くね。行ってきます!」
「うん、行ってらっしゃい」
オレも早く準備しなきゃ…。
急いで荷物をかばんに詰め込んだ。
―――――
「退くん……か…」
「山崎ィ。何一人でニヤニヤしてんでィ」
「え!沖田さん!?…オレ、そんなにニヤニヤしてました…?」
「あぁ。一人で自分の名前呼んでずっと頬が緩みっぱなしだったでさァ?」
ああ、恥ずかしい…!
こんなとこ沖田さんに見られたなんて、最悪だ…。
「おい、山崎。仕事ちゃんとしろ」
「は、はい!すみません!」
「そんなに怒らなくっていいじゃないかトシ。ザキだって頑張ってるんだから」
「そんな格好して言うセリフじゃねーよ!!だいたい毎回真っ裸で座るな!いくら上司だからっつっても気持ちわりぃ…」
何でこんなところに就職したのか分からなくなってきた。変な上司がいて、その周りにいる人たちも若干変な人で。
でも、ここに就職したからモコちゃんに会えたのかな?とか考えてると、また頬が緩んだ。
そしてそれを見ていた土方さんに頭を殴られた。痛い。
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