「本当に増やしたな…あの上司…」

「うわっ!モコさんの仕事の量がいつもより多いじゃないですか!ど、どうかしたんですか?」

「新八くん…ごめん、落ち着いたらきちんと説明するからそれまで待ってて」

「べ、別に大丈夫ですけど…」



昨日言われた通り、いつもより倍の仕事がデスクに用意されていた。いつもだって多いのに、これじゃ本当に死ぬよ…。
自分の発言が間違っていたとは思えない。正直に話しただけなのに。



「モコも大変アルなー」

「神楽ちゃん…そう思うなら酢昆布食べるのをやめて手伝ってよ…!」

「イヤアル。そういう仕事は新八とモコがやるって決まってるアルから私は助けないアル」

「じゃあこの酢昆布はいらないのか。残念だなー神楽ちゃんのために買ってきたのになー」

「モコ!手伝うアルから酢昆布くれ!!」



これでギリギリ終わるかな。
にしても本当に神楽ちゃんは酢昆布で動くなぁ。



――――――



「ただいまー」

「あ、春日さんお帰りなさい。今日はハンバーグだよ」

「そのハンバーグって手作り!?」

「うん、そうだけど…。もしかしてハンバーグ嫌いだった?」

「ううん。手作りハンバーグってあまり食べないから何だかテンション上がっちゃった!」



家にいたときも、ほとんど市販の冷凍のハンバーグぐらいしか食べないからね。山崎くんの手作りだったらきっと優しい味がするんだろうな。



「どう?」

「美味しい!やっぱり山崎くんって味がする」

「何それ!!」



私の発言が面白かったのか山崎くんは笑い出した。それにつられておかしくなってきた私も一緒に笑った。



「はは……春日さんって本当に面白いなぁ」

「あ、そういえば…」

「?」

「苗字で呼ばれると他人みたいな感じがして苦手なんだ…。よかったら名前で呼んでくれないかな?」

「名前で?」

「うん。でも私も山崎くんのこと苗字で呼んでるし、嫌なら名前で呼ぶよ」

「じゃ、じゃあ……モコ、ちゃん」

「うん!退くん…でいいよね」

「いいけど…」



名前を呼んだら様子がおかしくなった退くん。下から顔を覗いてみると真っ赤になっていた。



「み、見ないでよ!恥ずかしい…」

「う…うん」



何だかこっちまで恥ずかしくなってきて、私もどうすればいいか分からなくなった。
でも急に顔を真っ赤にするなんて、どうしてだろう?




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