ひとりぼっちの恋ごと
一目惚れだった。彼はとても綺麗に泳ぐ。気持ち良さそうに水の中を自由に動いている彼はイルカのようだった。あれから彼が同じクラスだったということを知った。未だに私は彼を眺めているだけの存在だ。
「ねぇ、ナマエ。いつまでアイツのこと眺めてるの。」
「え!?ずっとでいいよ!」
「見てるこっちがイライラしてくるんだけど。」
「だってー…。」
「まぁ、そんなナマエがいいんだけど。」
この子は友達のちぃちゃん。私の恋の相談はいつもちぃちゃんににしている。だから人一倍私の恋を応援してくれるんだけど、私はこのままでもいいんだ。
「ほら、愛しの七瀬くん来たよ。」
七瀬くんと橘くんが一緒にクラスに戻ってきた。いつも二人は一緒で仲がいいから見ていていいなぁとか思っちゃう自分がいる。いつもより見てしまったのか、橘くんと目が合ってしまった。あたふたしていると、橘くんはにっこり微笑んだ。
「川路さん、何かあった?」
「え!?う、ううううん!何にもない何にも!ごめんね!」
「そっか、こっちこそごめんね。」
橘くんに声かけられるとは思わなかったから無駄に緊張してしまった。少し落ち着いてから、また七瀬くんを見た。外を見ている七瀬くんの姿はとても胸を締め付けた。
title:空想アリア
2013/09/11