家のバルコニーに出て、ぼーっと月を眺めていた。今日は満月。ヴァンパイアが最も力を発揮する日。私も満月の日は特別で、血が欲しくなる。普段は人と同じ生活してるから、あまり吸血は得意な方じゃない。それに、一般の人に吸血できるほど上手く動けない。なので、ここに来てからは兄弟の血をもらっている。


「マナミ」
「あれ…シュウお兄ちゃん…。どうしたの?」
「お前が渇いてると思ってな」
「さすがシュウお兄ちゃん。もうカラッカラ!」
「ほら、来いよ」
「うん!」


彼はその場から動かず、私からシュウお兄ちゃんに向かって行く。ここまで来てくれたから、それだけで十分だ。彼の服を少しずらして、飲みやすいようにする。シュウお兄ちゃんも渇いているのか、私の服も脱がしてきた。もしかして、シュウお兄ちゃんがただ単に私の血を飲みたかったから動いたのかな。


「ごめんね…まだ加減できない」
「いいぜ。マナミの気のすむまで血をあげてやるよ」
「私も…シュウお兄ちゃんが満足するまでいいよ」
「あぁ」


牙を彼の首元に立てる。少し深かったのか血がどんどん溢れてきた。私の方も彼の牙が刺さってとても気持ちがよかった。
ごくごくと喉を鳴らしながら血を飲む。シュウお兄ちゃんの血は甘くて止まらなくなる。


「んん…はっ…」
「お前の血、どんどん甘くなってるぜ。興奮してんのかよ、淫乱」
「…シュウ、お兄ちゃん……っ」


ぺろりと傷口を舐めてごちそうさまをする。でも、彼はまだ吸い足りない様で吸い続けていた。


「血が…なくなっちゃう…!」
「大丈夫だ。死なない程度に吸ってんだ」
「……んっ」


頭がクラクラして立っていられない。全身の力がなくなると思った瞬間に誰かに支えられた。


「この穀潰し。マナミの身体も配慮しろ」
「レイジか…今いい所だから邪魔するな」
「お前ごときに指図される理由はない。行きますよ、マナミ」
「あ…うん」


もう頭がぼーっとしてどうにでもなれって感じだ。







「お水です。お飲みなさい」
「ありがとう」
「全く。貴女は少しぐらい抵抗したらどうなんですか」
「…もう力が抜けていて」
「…本当に私がいないとダメなんですね」
「本当にありがとう」


にっこりとレイジお兄ちゃんに向かって笑う。すると彼は咳払いをし、こう言った。


「今から鉄分が多い料理を作ってあげますから、一緒に手伝いなさい」
「はーい!」



20130124

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