不思議な人に捕まった。多分先輩…いや先輩達。柔道着を着ている方と体操着を着ている方。確か「ニーナを捕まえるのに協力してくれ」とか言われた気がする。どうして私なんだろう。



「嵐くん、ニーナにメール送ったよ!」

「おう。これで来てくれるはずだな」

「…急にごめんね?」



話の流れが分からないまま眺めていたら、体操着の方…可愛い先輩が謝った。というか…。



「いえ、そんなことよりも、私と普通に話しても大丈夫なんですか?」

「もしかして"死神"って気にしてるの?」

「そんな信用がない噂よりもニーナが優先だ」

「そう、ですか…」



嵐(確かそう呼んでいたはず)先輩が何事もないように答えた。ニーナの周りの人はこういう人が多いのだろうか。



「私、小波美奈子。ニーナが部活に来ないから、少し手伝って欲しかったの」

「苗字名前…です」

「あーそっか。お話するの苦手なんだっけ?本当にごめんね!」

「い、いえ!小波先輩なら…平気です…!」



「本当!」と嬉しそうに小波先輩は答えた。何か私とは正反対の人がまた現れた気がする。こんな人が噂のローズクイーンに選ばれたりするんだろうな、とか思った。

ふと、プレハブの外が騒がしくなったと思ったら、勢いよくドアが開いた。ニーナだ。



「ちょ、嵐さんもアンタもひっでーよ!何考えてんだよ!」

「お前が部活に来ないから悪い」

「それは…!つか、まだ言ってないッスよね…?」

「何を?」



話がまたもや分からないのでニーナに聞いてみた。すると、彼は自分の髪をわしゃわしゃして「あーもう!」って言った。



「というか名前ちゃんがその反応ならまだッスよね…はーよかったぁ」

「小波先輩…」

「あ、知りたい?あのね、ニーナね、名前ちゃんが」

「ストーーーーーップ!!」



小波先輩と私の間に現れたニーナは、何だかさっきよりも焦っていた。続きが気になる。あ…もしかして、とマイナスな方向にしか考えられなかった。



「私のこと、嫌い…だった?」

「へ…?」



だってそうだ。ニーナがそんなに焦るなんて聞かれちゃいけないことなんだ。本当は私と一緒にいるの嫌だったのに罰ゲームとかで1ヶ月一緒にいろとかそういうの出たんだ。
いつもなら平気なことでも、どうしてかニーナだと胸がチクチク傷んだ。



「ニーナ、の…ばか…」



20121113

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