放課後、人から離れようと思って、あまり人が来ない場所でのんびり過ごしていた。この時間が好きな時間なんだ。まだ大丈夫って思えるから。

目を閉じて座っていたら、横からドンっと何かがぶつかった。すごい勢いでぶつかるもんだから、眼鏡が飛んでいってしまった。



「あー!マジゴメン!大丈夫だった?」

「…はい」

「あ、はい、これメガネね」

「…ありがとうございます」



誰だろうと思って顔をあげると、ぶつかってきた人は"新名旬平"だった。私なんかと違って、一番目立って、人気者…多分。



「つーか苗字さんじゃん。こっち向いて?メガネかけてかけてあげるから」

「…」



普通に話してる新名旬平が気になって、じっと見つめてしまった。



「…そんなに見つめられるとメガネかけずれぇんだけど…あ、もしかして今見えてない?」

「ううん、違う。だって、私と普通に話してる人だから……つい」

「あー…ナルホド」




そういうと、私に眼鏡をかけてから、話してくれた。



「オレ、コワいのマジムリなの」

「う、うん」

「だから信じてないだけ」

「…それ、だけ?」

「そ」



ちょっと拍子抜けしてしまった。普段の私を知っているから、とか、既に魂ないからーみたいな冗談がくるんじゃないかと思っていた。



「にしても、苗字さん……名前ちゃんキレイな目してんのに、どうしてだてメガネしてんの?もったいねーじゃん」

「……」



気づいたら、私の目には涙が溜まっていた。私の目を見たみんなは、気味悪いとかしか言わなかったのに。嬉しいのか驚いたのか、感情がごちゃごちゃしたまま泣いた。
何かを察してくれたのか、新名旬平は頭をぽんぽんなでてくれた。



「ヨシヨシ」

「この目……気持ち悪くないの……?」

「うん」

「初めて…っ」

「そっか」



しばらくなでてもらって落ち着いてきた頃に、新名旬平は言った。



「今度の日曜日、空いてる?」

「…どうして」

「ありのままの名前ちゃんと一緒にいてみたいなぁって。ダメ?」

「……ううん、平気」

「マジで!?じゃ、待ち合わせは公園入り口ネ」



そう言うと、何かを思い出したのか「じゃーね!」と言って走っていった。
ありのままの私…久しぶりに見せるかもしれない。



20121111

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