「ニーナ、暑いから離れて」
「イーヤーだー」
「美奈子先輩〜…!」
今は夏休み。ニーナや美奈子先輩が夏休みだけでもいいから、サポートしてくれない?とお願いしにきたので、二つ返事で了承した。だってこの二人にはたくさん助けてもらったから。
「ニーナ、嵐くんが怒っちゃうよ!ぷんぷんだよ!練習量倍になるよ!」
「ちょ、それはねーって!」
「ニーナ、頑張って。見てるから」
私がそういうと彼はめいっぱいの笑顔をくれた。最近分かったこと(美奈子先輩に教えてもらった)だけど、彼は私が応援すると絶対にやる気だすみたいだ。なんか…。
「犬、みたい」
「新名のことか?」
「嵐先輩」
休憩中なのか、嵐先輩は私の隣に来た。
「たまに耳と尻尾があるんじゃないかって思うんです。すごくなつかれてる感じがします」
「実際そうだしな。少しいじってやろうか、新名を」
「え?」
すると、嵐先輩は顔をぐいっと近づけた。ニーナの時よりかはドキドキしないが、突然のことなので、ぼっと赤くなってしまった。
「そろそろか…」
「ああああ嵐先輩っ」
「嵐さん何してんスかああああ!!?」
彼が走ってきた。そして、嵐先輩から遠ざかったと思うと、彼の腕の中にいた。
「マジ油断も隙もないじゃん!嵐さんもマジヒデェよ!オレが名前ちゃん好きなの知ってるじゃん…あ」
「っ!?」
今の発言はいったい何だ。彼が好きと言った。誰を?私を。 今まで以上に顔が真っ赤になっているだろう。顔を見られたくなくて、顔をあげられない。
「あー…名前ちゃん?」
「な、何…?」
「今の、マジだから…マジでスキ」
「うううううるさいっ」
抱きしめられたままだから、胸のドキドキの音が伝わってるに決まってる。でも、このドキドキは彼の?私の?少し心地よかったりもした。
「ニーナ…っ!」
「ん?」
「多分、私も…好きだと思う。でも、はっきり答えが出るまで待っててほしい…っ」
「分かった」
彼だから、曖昧な答えを出したくなかった。 だから、まだ…。
20121223
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