あのお家…デート?の日以来、ニーナを避けていた。いつ殺されるか分からない。そんな危ない状態で彼に近づいたら、本当に死んでしまう。 最近逃げ場所に選んでいるのは音楽室。だって彼は言った。"何かあったら来ていい"と。
「したら先輩助けてください」
「い・や・だ」
「死神を怒らせて、どうなっても知れませんから」
「それも嫌だ」
あの時の優しいしたら先輩はいないみたいだ。私がふてくされていると、急に腕を引っ張られた。あまりの勢いに床に倒れてしまった。
「新名がいたから引っ張ったんだが…悪いな、受け止められなくて」
私を見ながらそう言った彼は、何故か一時停止をしてしまった。どうしたのだろう。
「お前、髪が…」
言われて気づいた。さっきの勢いでウィッグが落ちていた。
「そうです。本当は金髪なんです。金髪に赤目なんて虐められる対象でしかなかったので隠してたんです。…まぁ、あまり意味がなかったんですけど」
内心焦ってドキドキしている。紅目は褒めてくれたけど、金髪は…どういう反応がくるのだろう。したら先輩の方を見れなくて下を向いていると、髪をすくわれた。
「…髪も綺麗だ。お前が思っている程、周りは厳しくないとオレは思うけどな」
「したら先ぱ」
「名前ちゃんみーーっけ!というか聖司さんのトコに逃げてたなんて思ってもなかったし。てなわけで、名前ちゃん返してもらいまーす」
「勝手にもっていけ」
ズルズルとニーナに引っ張られ音楽室とさよならをする。彼に連行され、プレハブまで連れて行かれた。
「ちょっとここで待ってて。一緒に帰ろうぜ」
「あ、…〜っ」
「どした?」
「目にゴミ」
擦ろうとしたけど、彼がそれを許してくれず、顔を覗かれた。
「ん〜…はい、もうダイジョブ」
「…ありがとう」
「いえいえー」
彼は荷物を取りにどこかに行った。 というか今の顔、近かった。思い出すだけで顔が真っ赤だ。うあ〜…やっぱり彼は人殺しだ。
20121218
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