ついにニーナに助けを求めてしまった。あんなに必死にどうにかしようとしている姿はとてもたくましくて、頼りたくなった。いや、頼りたかった。もう限界なのは分かっていたんだ。 そして今日もまた呼び出された。美奈子先輩は部活で先に別れたから何も心配かけてない、はず。
「ねぇ、苗字さん。そろそろ終わらせたいと思わない?」
「え…?」
まさか向こうからそんな話がくるとは思ってもいなかった。
「だって、苗字さん懲らしめても何も反応しないんだもの。それに、いつまでたっても彼は貴女のことばかり。だから、ね…」
目の前の彼女はどこからかナイフを取り出して、床に投げた。
「自殺、しよ?」
何を言っているんだ。 そんなにもニーナに構ってほしいなら頑張ればいいじゃないか。そう言いたかったけど、彼女から出ている狂気が阻止をした。 彼女は…本気だ。
床に落ちているナイフを拾い上げた。
「ほら、早く…!」
痛いのは、嫌だけど…今はやらないとここからは逃れられない。ゆっくりとお腹に向かってナイフを動かした。そして、力を込めて勢いよく刺そうとすると、手からナイフが落とされた。
「名前ちゃん、ダメ」
「ニーナ…?」
「ようやく見つけた。アンタが主犯サン?」
「そうよ…だって、ニーナ彼女のことばかりで嫌だったんだもの!琉夏くんも!!」
彼女はいきなり狂ったように叫び出した。そして落ちてるナイフを拾った。これはもしかすると刺される?
「あんたなんかいなくなれ!!!」
「…っ」
目をぎゅっと瞑り、痛みを待ってたけどこなかった。ゆっくり目を開くと、るか先輩がいた。
「こんなコトしか考えられないヤツなんて好きになるわけないよ。諦めて?」
「オレも、話して解決しようと思ったけど、アンタとは一生仲良くできないみたい。今度また名前ちゃんに手出したら、その時はどうするかマジ分からないから」
「美奈子にも手出しちゃダメだよ」
「〜っ!あんた達なんか……嫌いよ!!他の男見つけてくるわっ」
そう言って彼女はバッと去っていった。結局彼女はミーハーなだけだったみたいだ。 ぼーっと彼女の去っていった方を眺めていると、ニーナが心配そうに見つめてきた。
「平気?」
「うん…なんか、あっけなくて…。人ってそんなことで、ここまで行動できるんだって考えてた…」
「そーだね」
「じゃあオレは帰るね。バイバイ、死神ちゃん」
そう言ってるか先輩は帰っていった。 主犯の彼女がいなくなったことで、虐めは終わったんだよね?クラスの人には無視されてたけどいつも通りだし…。
「あ、というかニーナ部活は?」
「美奈子さんに"名前ちゃんの危機だから休みます"って言ったら、笑顔で送ってくれた。マジあんがとって感じ」
「そっか…美奈子先輩が…」
「名前ちゃん」
ニーナに呼ばれて、顔をあげれば、彼はすごく優しい顔をしていた。いつもよりも優しい顔。そんな表情見たことがなくて、私の鼓動は速くなっていた。
「終わったし、帰ろうぜ。んで、日曜はお祝いにデート、ダメ?」
「ううん。行く!」
20121216
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