『絶対に守って見せるから!』

『本当…?』

『本当よ!もうこれ以上、大好きな名前がこんな姿になっているの見てられないもん!』

『ありがとう…!』









昔の夢を見ていた。懐かしくて、温かくて……憎くなるような実際の話。
あれから少しだけど、虐めは落ち着いてきた。あの時、死体を素手で持ち歩いたのが効いたのか、あれ以上の事はしなかった。もしくは彼が何かしてくれたか…まだ見たことないから信じないけど。
トイレに行こうと思い立ち上がった。

用を済ませ、出ようと思ったら外から話し声がした。



「苗字さん…いるの?」

「返事なくても閉じてる個室ココだけじゃん!いいよ、やっちゃえ!!」

「あ、本当だ。苗字さん、何もかもキレイに流してあげるね」



そう言った瞬間にバシャッと水をかけられた。あー冷たい。



「キレイになった?苗字さん。あはははははははははっ!!」



余計に汚くなったよ。
着替え…体操着は今日は持ってきていない。仕方ない、このまま過ごそう。
びしょ濡れのままトイレを出ると、彼もトイレに行っていたのか鉢合わせした。見えない振りして教室に戻ろうとしたけど、彼はそれを許してくれなかった。



「濡れてるじゃん。着替えは?」

「ない」

「じゃあコッチ」

「行かな…っ!」



腕を引っ張るニーナの力に対抗できなかった。連れていかれたのは、柔道部のプレハブ。彼はロッカーから何か探すと、それを渡してきた。



「ソレ、一回も着てないし汚れてないから貸すし。マジ早く着替えて」

「…」

「それとも…オレが脱がそっか?」

「っ…えっち!!」




外出てると彼は言い、プレハブから出た。彼のジャージは大きくて、優しい…ニーナの香りがした。
着替え終わった事を伝えると、ニーナはプレハブに戻ってきた。



「これからどうする?授業受ける感じ?」

「…一人でいたい」

「ん、分かった。何かあったら絶対連絡だからな!」

「気が向いたら」



頼ってちゃ、これは終わらないんだ。



20121203

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