朝、学校にくると、机が真っ黒くなっていた。え、何これデジャヴってる。頭の中にある記憶がどんどん蘇ってくる。



『気持ち悪い』
『呪われそ〜』
『お前なんかクラスからいなくなってしまえ!』
『あんた自身が悪影響だよ』
『誰も人形みたいだなんて言わねーよ真っ赤な名前ちゃん』



息が、できない。

今何も言われてないのに、記憶が蘇ってきたから幻聴なのは知ってるけど聞こえてしまう。



「に……な…」



思わず彼の名前を呼んだ。一瞬彼の声が聞こえた気がした。









目が覚めると薬の匂いとちょっと固めのベッド。あ…ここ保健室か、と思い、周りを見渡してみるとニーナが座って寝ていた。時間を確認すると12時過ぎ。午前の授業サボっちゃったな。
とりあえず、彼を起こそうと体を揺らす。



「ニーナ、起きて」

「名前…ちゃん?」

「もしかしてずっと一緒にいてくれたの?」

「ん〜…アンタがマジ心配すぎて授業なんか受けてらんねーよ……それよりどこもケガしてねぇ?」

「うん。ありがとう」



彼にお礼を言うと同時に私のお腹が鳴った。…なんか恥ずかしい。



「ぷっ!一緒にご飯食おうぜ?」

「あ、じゃあ教室にカバン取りに行かないと…」

「心配ごむよー!カバンならオレが持ってまーす。行こ!」



彼の優しさに素直に甘えることにした。
それから、午後の授業は受けずにそのまま家へ帰るようニーナに言われた。気遣ってくれるのは嬉しいけど、そんなことしても何も変わらないことを知っている。なので、午後は大丈夫とだけ言っておいた。クラスにニーナがいるだけで気持ちも違うんだからね。

午後の授業が始まる5分前に教室に戻った。ざわつく教室。久しぶりだな、この感覚。何事もないように席に座り授業の準備をする。
多分、まだ最初だから何もしてこないはず。

私の予感は当たり、今日は特に何も起きなかった。…下駄箱に向かうまでは。



「手紙……あぁ」



内容はこうだった。不死身のヒーロー先輩とニーナに近づくな、と。人気者なんだ、あの二人。地味に過ごしてきた私が急にお近づきになったのがそもそもの間違いだったのだ。

明日から、また一人で過ごすと決心をした。
別に辛いことはない。
また戻るだけ。



20121129

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -