体育祭当日がきた。
運動音痴が参加してもよい日なのか今日は。そんなことを考えていても今日は逃避できないので、渋々自分のクラスの場所に向かった。
あと少しで着くところで、前から走ってきた人にぶつかった。



「あ、イジワルな死神ちゃんだ」

「不死身のヒーロー…」

「琉夏ちゃーん逃げないでよー!…あ、名前ちゃんだー!」

「小波先輩」



久しぶりに会った小波先輩はハチマキが似合っていて可愛かった。というか、不死身のヒーローは小波先輩の知り合いだったのか。そしたら不死身のヒーロー先輩だ。



「名前ちゃんと琉夏ちゃんは知り合い?」

「エビフライ奪われただけです」

「え!?琉夏ちゃんまたおかず奪ったの!?」

「ばれちった」



「今度お弁当作ってあげるから奪うのもうダメ」と言った小波先輩は可愛かった。るか…先輩もきゅんと来たのかギュッと小波先輩を抱きしめて頷いた。



「不死身のヒーロー…先輩」

「ん?何、死神ちゃん」

「どうしたらそんな格好で堂々としていられるんですか?」



急にわけの分からない質問を聞いたせいで、彼は不思議な顔をしていた。でも、答えてほしくて、じっと彼を見つめた。自分の中で何か納得したのか、彼は口を開いた。



「オレを受け入れてくれる人達がいるから…かな」



寂しい表情でそう言った彼。彼も何かあるんだと察した私は知らない振りをした。
受け入れてくれる人達…確かに、そんな人達がいるから何も言われないし、されないんだ。納得した私は彼に「ありがとうございました」とお礼を言った。

私はまだニーナにしか素の自分を見せていない。クラスの全員に見せたら何か変わるかもしれないけど、同じことの繰り返しにならないか恐い。
急に肩をぽんっと叩かれたので、思いっきりビクッと反応してしまった。



「ゴメン!そんなに驚かれるとは…」

「ニーナ」

「そろそろ二人三脚らしいぜ。行こ!」

「うん」



今は体育祭のことだけ考えていよう。



20121116

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