廊下を歩いていると、綺麗なピアノの音が聞こえた。気になって音を辿っていくと、着いたのは音楽室。ドアの隙間から覗くと、弾いている人がちらちら見えた。少しだけ覗こうと思ったのに、ドアに体重がかかったのか、ガラガラと全開に開いてしまった。
「誰だ」
「すみません。すぐに出ていきま…す……」
「何だよ」
ピアノを弾いていた彼は、私と同じ真紅の目をしていた。同じ人がいるんだなぁ、と思っていたら「何がしたいんだお前は」と声をかけられた。確かにじっと見られたら嫌だよね。
「同じ瞳の色をしているな、と思っただけです。今度こそ失礼します」
「…!」
私が去って行こうとすると、彼は何かを思い出したのか、ハッとして私の腕を掴んだ。
「お前…死神だよな…。もしかしてオレの魂は…」
「取りませんし取れません」
そう言って音楽室から出た。
不死身のヒーローと音楽室の彼に普段どうしているか今度聞いてみたい。そしたら、本当…今度こそ本当に大丈夫かもしれないから。
20121115
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