そろそろ体育祭の時期が近づいてきた。私は運動音痴の部類の方に入る人だ。なので、残り物に適当に参加しようかと思っていた。しかし、私が参加する事になったのは二人三脚だった。ペアの人…どうしよう。
決めてる最中に「死神と一緒に走れるヤツいんのかよ」「一緒に走ったら魂持っていかれそう」「いや、体ごと食われちゃうかも」とかなんとか話が飛び交っていた。
私だって困っているんだ。あまりたくさんの人に近づきたくないんだ。



「てかさ、最近ニーナと一緒だからニーナでよくね?」

「あ〜!それ採用!」



いつの間にかペアも決まってしまった。ニーナは朝練で疲れたのか、眠気と戦いながら大きい船を漕いでいた。さっきの話聞いてたかな。とりあえず、ニーナが起きたら報告しよう。



「おはようニーナ」

「ん〜…?チョリーッス〜…」

「体育祭ね、二人三脚私とだって。転んだらごめん。それだけ」

「うーっす…」



報告は、した。
お昼食べようと思って、いつもの穴場へ向かった。









「先客さんだ…」



この場所誰も知らないかと思ったけど、校内だ。他の生徒だって見つけてしまうのは当たり前だ。
仕方ないので、少し離れた場所でお弁当を広げた。「いただきます」と挨拶をして、食べようと思ったら、目の前にミルク色の髪をした人がお弁当を見つめていた。



「あの…」

「死神ちゃん、飴ちゃんとエビフライ交換しない?」

「…このエビフライ食べたら魂とります」



死神ちゃんって…私のこと知ってるんだ。私は、大好物のエビフライを取られてたまるか、と思い、こういう時だけ"死神"を有効活用してみた。すると彼は「ヒーローは魂なんかとられない」と言って、いつの間にかエビフライを食べていた。エビフライが置いてあった場所には約束通り、飴があった。



「ほらね、不死身のヒーローだから」



何わけの分からないことを言ってるんだ。今ので食欲はなくなってしまったのでお弁当をしまおうと思ったら、彼に阻止された。



「食べないんだったら、ちょーだい?」



不死身のヒーローというものは死神に食をねだる程お腹を空かしているのだろうか。エビフライをすでに奪われてしまったので、私のイライラは最高潮だ。



「あげません。不死身のヒーローなんですから食べなくても大丈夫ですよね?」

「あー…」

「失礼します」



久しぶりにイライラした。にしても、いるんだな…あんな髪色した人。私もいつかあんな風に堂々と素の自分でいれるのかな。



20121114

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