拍手プチ連載
庭球/向日
あいつは思っていた以上にオレを大事にしていた
それは自分にとってはとてめ嬉しいこと
だけど…
オレは完全に逃げ場がなくなってきたんだ
【逃げられない離れられないでも叶わない】
最近…いや、昔約束したことを再確認させられた日から、なはまたオレと帰る回数を増やした。一回"そんなことすんな。お前は頑張ってればいいじゃん"って言ったけど、"岳人が寂しいって言ってるみたいだから"とかほざきやがった。
オレのことちゃんと見てるんだったら、あんな奴好きにならなきゃよかったのに。
そんなこと考えてたら、後ろからなの友達複数が来て声をかけた。
「な、今日は向日くんとなんだ〜!もしかして…三角関係にでも持ち込もうと…!」
「ち、違うっ!だって、岳人はただの幼馴染みって何回言えば分かるの!」
「ごめんって。からかいすぎた」
笑いながらなの友達は言った。…今はそんなことはどうでもよくて。なが発した"幼馴染み"がこうもオレをズタズタにするものなんだと理解した。なの友達なんか来なきゃよかったな。
「岳人、帰ろ?」
そういうと、なは手を差しのべた。吃驚して、手を眺めていると、彼女はこう言った。
「昔、こうやって手、繋いで帰ったでしょ?今日は、岳人一段と寂しい顔してるから特別!はい!」
時が止まればいいと思った。
20121108