拍手プチ連載
庭球/向日





オレがあいつを好きな気持ちは





今のあいつには邪魔な感情





いつも通り、いつも通り





この気持ちが表に出ないように、ぎゅっと封印してるけど





いつまで持つんだろな





【意識してるって気づかれたら終わりだね】






「がくと?」

「あ、ごめん…何だよ?」

「最近上の空じゃねーかよ」

「…そんなことねぇ」



久しぶりにジローと宍戸と三人で昼飯。二人が話しかけてくれても、オレの頭の中はなのことばかりだった。それが顔に出てたのか、ジローに指摘された。



「がくとの頭の中は、なちゃんと忍足でいっぱいいっぱいなんだよねー。恋は順調かねー」

「な!?」

「オメェがなちゃん好きだなんてこっちは丸わかりだっつーの。りょうだって分かってたでしょ?」

「え、あー…分かんなかった」

「ま、そんな答えがくると思ってた」



ジローが恋の先輩に見えてきた。というかちょっと待てよ。見てて分かっちゃうなら、あいつにもバレたりはしてねぇよな…。



「なちゃんは昔から鈍感っ子だから、りょうみたいに気づかないでしょ。それより、なんでがくと忍足から奪い返そうとしないの!」



ジローがそういうと、亮も疑問に思ったのか少し前のめりになっていた。



「…オレがなと付き合ったとしても、あいつは侑士がいいんだ。あいつが幸せならそれでいい」

「うそ」

「本当だよ!」

「じゃあそんな顔しないでよ…。泣きそうだよ、がくと」



ハッと今自分がしてたであろう顔に気づいた。力んでて少し痛い。



「オレさ、あんまり恋沙汰には詳しくねーけど、岳人がそんな顔すんのは確かにらしくねぇ。ま、お前が本当にそれでいいならオレは止めねーけどな」

「そうそう!本当にキツかったらいつでも相談!分かった!?」

「お、おう…」



あいつらはいつも優しい。でも、今あいつにこの気持ちが気づかれたら…あいつ自身がおかしくなりそうで、今までみたいに話せなくなったらどうしようとか最悪なことしか考えられない。

だから、まだ。



20120602
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