拍手プチ連載
庭球/向日
恋をするってのは
すごく楽しくて
すごく嬉しくて
でも、
すごく苦しくて
すごく辛くて
オレの心臓は大忙し
【いちばん近くできみの恋を見てきたんだ】
「岳人かーえろ!」
「おう!」
彼女はオレの可愛い可愛い幼なじみ。オレの幼なじみということは、ジローと亮とも幼なじみだ。オレ達4人はいつも仲良くしてきた。
でも、いつまでも4人仲良くなんてできるはずがなくて…。この関係が少しずつ崩れていくのがオレには分かる。
「今日あんまり話せなかったー」
「珍しくクラスに来なかったしな」
「んー…私から会いに行ったほうがいいかなぁ」
「さぁ、な。侑士の気分次第だろ!」
関係が崩れる理由は2つ。
なが侑士に恋をしている。
そして、オレがなに恋をしている。
いつまでも幼なじみの関係がイヤだ。でも、侑士がこの輪に入ってくるのもイヤなんだ。
そんなことを思っていると、ながオレに問いかけた。
「岳人は好きな人いないの?たまには岳人の恋ばなも聞きたいし、協力するよ?」
その言葉が胸に刺さって、すごくずきずきする。
好きな人?
クソクソお前しかいねぇよ、バーカ。
そんなことを言える勇気もなくて。
「いねぇなー…。オレにはいつもの3人がいるしな!」
「ふふっ。岳人らしい!私も岳人と一緒にいるの好きだよ」
「…ありがとな!」
な言った"好き"はオレとは違う"好き"。でも侑士に向ける"好き"はオレと同じ"好き"。
日本語ってなんでこんなに紛らわしいんだろうな。
「明日は私から話してみる…!」
「おう!」
心臓、痛い…。
20120103