甘く狂う心臓





この生活も慣れてきた。慣れてきたほうが異常なのだけれど。きっとお母さんやお父さんは私のこと必死に探してるんだろうなぁ。ぼーっと考えながら、窓から見える満月を見つめていた。
足音が聞こえた。音の方を見ると、彼がご飯を運んできた。



「わー美味しそうだね。」
「熱史が作ったカレーはすごく美味しい。」
「へ〜鬼怒川くんカレー作れるんだ……いたっ。」
「名前は他の男の名前を呼ぶな…熱史でも俺が耐えられない…。」



彼はとても悲しそうな顔をして私の肩をぐっと掴んでいた。なんと身勝手なお願いなんだろうと心底思った。でも私は彼に逆らえないのだ。



「煙ちゃん、ごめんね。」
「あぁ…。なぁ、そろそろご飯食べようぜ。」
「うん。」



じゃらじゃらと手足についてる鎖が音を鳴らす。自分では何もできないようになっている。だから、生活の全てを彼にやってもらうことになっている。あの面倒くさがりの煙ちゃんがここまでしてくれるなんて、誰が信じるのだろう。1回理由を聞いたことがある。そしたら彼は「今まで俺の面倒見てくれた恩返しだ」と言っていた。彼は少しズレている。



「美味しいか?」
「うん、美味しいよ。」
「よかった。あ、口の横にカレーついてるから綺麗にしてやる。」



そういうと彼は私についたカレーを舐めとった。その行動に心臓がばくばくと早い鼓動を打った。



「好きだ。俺が一生面倒見てやる。」




由布院煙/防衛部
20160923

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