すがるようにキスして


目を覚ますと知らない部屋にいた。動こうとしたら、ガシャンと音がなり、叶わなかった。音がする方を見ると、腕に手錠がついていた。その手錠が柱と繋がっていて、私を自由にはしてくれなかった。
どうしてこんなことになったのだろう。必死に頭を悩ませても答えは出ない。最後に会ったのは…。


「お目覚めですか?」
「鳴子先輩…」
「あー…むりに動いたから手首が赤くなってます。大丈夫ですか?」


そういうと、鳴子先輩は私の手首を優しくさすってくれた。あぁ、犯人はこの人なんだ。


「ここから出してください…」
「それはできません。外に出たら、また私が投資に集中できなくなっちゃいます。なのでキミは私の隣にいるのが最善なのです」
「意味が…わかりません…」
「分からないのですか?つまり、私はキミのことを愛してたまらないのです。他の人と話したり、どこかに行く姿を見ると、心が苦しくなります。相手の人を殺したいぐらい。でもそれは私にとってメリットは少ない。愛している名前をここに繋げておけばすべて解決です。そう思いませんか?」


この人は狂ってる。私のことが好きなのは薄々気づいていた。でも、こんな人だとは思いもしなかった。私の表情がすごかったのか、優しく頬を撫でられた。


「そんな表情をしないでください。私も悲しくなります」


鳴子先輩はおでこに口づけをした。そしてそれはだんだんと下に降り、頬、鼻、唇にキスをした。


「キミとこんなふうに過ごすことができて私は幸せです」


もう一度、唇にキスをされた。啄むような少し激しいキス。絶対に離したくない、愛してる、そんな気持ちが表れたようなキスの仕方に胸がきゅうっと締め付けられた。私も、結局は彼が好きなのだ。何をされても許してしまう。そうたどり着いた私は、彼のキスに応えた。



鳴子硫黄/防衛部
20160922

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