どっちが好き
―ヒュッ…ヒュッ…
この音聞くと何故か落ち着く。
お妙ちゃんや神楽ちゃんにも話したら「変な子ね(アル)」って言われた。
きっとこの音を聞いて落ち着くなんて私以外いなんだろうな。
「あれ…苗字さん?」
「えへへ、また見に来ちゃった」
「苗字さんだけだよ。俺のミントン見に来てくれるの」
少し照れたように話す山崎くん。
こっちも何だか照れてきた。別に何も恥ずかしいことは言われてないのに。
「そういえばさ、見てるだけじゃつまらないと思うから一緒にやらない?」
「え!?い、いいよ。私運動苦手だし………音聞いてる方が好きだし」
「そっか…。また今度やらない?」
「……考えてみる」
「分かった」っていいながら、山崎くんはグラウンドに戻って行った。
そしてまた、
―ヒュッ…ヒュッ…
と音が聞こえた。
この音が好きで聞いてたのか、山崎くんが好きで居たのか、私はまだ分かってなかった。
どっちが好き/山崎退
20091111