次に会う時は笑えるように




私の想い人に好きな人ができた。私が知らないうちに出会っていて、知らないうちに恋に落ちていたみたいで、私の知らない彼が多いんだなって感じた。


「あ、山崎さん…。」


彼を見つけて少しテンションが上がったけど、視線の先には彼の想い人がいた。可愛いなぁ。私なんて絶対かないっこないよ。はぁ…とため息をついていると肩をぽんっと叩かれた。


「名前?」
「…銀さん。」
「あー…ジミーか。」
「うん。好きな人できたみたい。実感しちゃった…私叶わないんだなぁって。胸が痛い。」


頭をぽんぽん叩いてくれた銀さんはとても優しいなって思った。でも行ってこいって言われて背中を押された。え、ちょっとそれはないよ銀さん。


「あれ、苗字さん?」
「こんにちは、山崎さん。ここから彼女はきちんと見えますか?」
「え!?なんでそれを!?」
「分かっちゃいますよ。山崎さん、分かりやすいから。」


私笑えてるかな。話せて嬉しいけど、胸の辺りがやっぱりぎゅって痛い。ねぇ、痛いよ。


「苗字さん…泣いてる…?」
「え、あ、あくびしちゃったかな。」
「…何かあったらオレ話し聞くからさ、溜めないでよ。」


ずるい。やっぱり彼はずるい。これ以上優しくしないで。なでないで。彼女を見ないで私を見て。涙が、止まらない。



山崎退
20130911

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