好きの反対の反対のはんたい
「好きなの?」
「ううん、嫌い」
「じゃあなんでそっち見てんの」
「なんでだろう」
"目が離せなられないんだ"
こっちも向かずにそう呟いた。そこまで言ったら好きに決まってるじゃないですか。オレだってキミから目が離せられない。そんなことも知らないでずっとそっちを向いている。嫉妬にまみれた表情を隠す為に、腕から伸びているカーディガンの中に口を隠した。
「あ」
「どうしたの……あー…」
「そっかぁ」
「嫌いなら別に…」
「そう、嫌い。私の感情を勝手に左右させるの」
そしたらオレはキミが嫌い。
浅羽祐希
20120824