キスして、って言えない
「マスター、いい加減離してください」
「嫌だ!」
さっきからマスターはオレから離れない。
いや、オレが離せばいいんだけど、離したくはない。
「カイトー」
「何ですか?」
「あのさ…」
「…さっきからずっとそればかりじゃないですか。早く言えばいいじゃないですか」
「うっ……じゃあ、耳貸して?」
「はい……?」
オレは耳をマスターの口元に近づけた。
そして小さな声で言った。
その一言だけが言えないマスターが、オレ大好きです。
キスして、って言えない/KAITO
20091020