欲しがるままに噛んでみろ




「紫原くんって甘い味する?」
「はぁ?」
「お菓子に囲まれてるからそうかなーって」


名前ちんおかしいよ、と呟く。紫原くんがお菓子食べてるといつも考えちゃうの。食べたお菓子は、紫原くんの体に吸収されて、いい味になっていくんだ、って。それにお菓子にも囲まれてるなんて、本当にそうなんじゃないかな。一番かぶりつきやすい手を取り口の中に入れた。


「お菓子…」
「だってさっきまで食べてたからね〜」


ぺろぺろと舌で舐め、紫原くんの指を綺麗にした。そしてかぶり、と指をかんだ。骨にしか当たらなくて満足しなかった。


「紫原くん…だっこ…」
「名前ちん子ども〜」
「一番子どもみたいな人に言われたくないです」


だっこしてくれた紫原くん。私の顔の位置は丁度首筋の近くになったから、「いただきます」と呟いてかんだ。
汗の匂いとお菓子の匂いが混ざってて、なんか変な味がした。でも彼の味だった。歯形が残るぐらい強くかんだら「こら、名前ちん」とぽこっと頭を叩かれた。


「満足?」
「うん。紫原くんやっぱり甘いね」
「名前ちんにだけじゃない?」
「そっかぁ」



title:空想アリア
紫原敦
20120701

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