はるよこい




はぁ…と息を吹くと、息は白くて、わぁっと空気に溶けていった。
まだ春は来ないかなぁとか思いながら、マフラーと手袋をつけて歩いた。冷たい風にあった膝はじんじんになっていた。この状態で、お風呂に入ったら痛いなぁ。


「はーるよこい」


歌の一フレーズを小さい声で歌った。すると、後ろから同じフレーズを歌っている人がいた。
気になって振り返ると、知ってるけど、知らない人がいた。いわゆる顔見知りな人。


「浅羽くん…?」
「はい。」
「…えっと、ゆうきくんの方…だよね?」
「…なぜおわかりで。」
「カーディガン。」
「なるほど。」


浅羽くんはそっくり双子で見分けがつかないけど、いつもカーディガンで比べてる。髪型とか言うけど、髪型なんてすぐに変わってわからない。カーディガンもその程度だけど。


「春、好きなんですか?」
「うん。早くぽかぽかな日差しに囲まれたい。今なんて膝がじんじんしてて痛いの。」
「女のコは大変で…。」


見てるこっちが寒い、とぼそっと言う浅羽くんに笑ってしまった。


「何笑ってるの。」
「…さぁ?」


なんだか今は、春みたいでぽかぽかしている。そんな気がした。



浅羽祐希
20120227

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -