苦いのなんて大嫌い




「慈郎」
「ん〜?」


こっちを向きながら白い煙を吐く彼。白い煙は寒くて白くなる息ではない。煙草の白い煙。
わざと私に向かって煙を吐くからむせてしまった。


「ごみんね」
「謝る気ないでしょ。いい加減煙草なんてやめなよ」
「やだ。オレ煙草大好き」


テニスしてるのに、なんでこんな体を悪くすることするんだろう。
向日とか宍戸とか…一番心配してるのは跡部だけどさ、みんな慈郎をどうにかしたいと思ってる。


「ねえ、名前。こっち向いてー?」
「なに?」


簡単に振り向くなんてどうかしてた。

慈郎が顔を近づけて唇を重ねてきた。しかも深い。
さっきまで煙草を吸っていたから、口の中はもちろん苦い。


「っ…はっ…!」
「オレ、名前の苦い顔が大好きだから煙草やめられないの知ってる?」
「最悪…っ」
「もう一回」


何回しても、この苦さはムリ。



芥川慈郎
20120120

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