嘘、オレだって恋してる
「ねぇ、小金井君って好きな人いるの?」
急にふられた話題に、オレはびっくりした。
だってこの人は恋ばなとか、女の子っぽい話をしないタイプだ。
本人に言ったら殴られそうだけど。
「どっち?」
「いや、えっと…」
「ハッキリしない小金井君珍しい」
そう言いながら彼女はお菓子をパリパリ食べた。
ハッキリしないというか、なんというか。
オレはこういう話をするのが慣れてなくて。人の恋ばなを聞くのはもちろん大好きなんだけど、いざ、自分のことになるとこうなるなんて知らなかった。
みんな緊張して話してるんだなぁ。
「いないよ?」
「へー…意外。小金井君って恋してますー!ってイメージだった」
「何そのイメージ」
笑いながら彼女の発言につっこんだ。
オレってそういうイメージあるの?今度、伊月とかに聞いてみよー。
「苗字さんは?」
「私?」
「そう。オレだけ聞くなんて不平等!」
オレの質問返しに、彼女は真剣な…いや、恋してますっていう顔でハッキリ言った。
「いるよ。大好き」
小金井慎二
20111213
title:fisika