恋は盲目
「恋は盲目」なんて言葉をよく聞く。無論、私には無関係な言葉だと思った。好きな人なんていないし、異性にも興味なんてわかない。何でそんな私がこの言葉を出したのか。なってしまったのだ。その言葉通りに。
私の目の前にはにっこりと微笑んでいる彼。これから起こることが分かっているのに笑顔でいられるなんて、とか考えてたら胸の鼓動が速くなった。あぁ、本当にこの人が好きなんだなって実感した。
「オレ、名前ちゃんが望むコトはなんでも叶えたい。それで名前ちゃんはもっともーっとオレに溺れていくんだよね?」
「うん。そんな慈郎だから私はどんどん好きになっていく。きっと、一生慈郎しか好きにならないし、なれないよ」
「そう?それはうれC〜」
いつまでも笑顔な彼。私は彼の唇と自分の唇を重ねた。深い深いキス。何回も離れてはくっつきを繰り返した。
そして私は片手に持っていたナイフを彼に突き刺した。
芥川慈郎
20110708