「人の指って食べたくならない?」



思ったことを口に出しただけなのにすごく驚かれた。そんな彼をお構い無しに彼の手を眺めた。

間接ごとの線がちょうど一口サイズで食べやすいし、少し力をいれたらちぎれちゃいそうなぐらい、指って柔らかいイメージがある。まぁ、実際そんなのだったら使い物にならないけどね。



「でも人の肉って美味しくないって聞いたことある…」
「そんなの人それぞれだと思うよ。芥川くんは美味しいと思う」
「どうして?」
「だって芥川くん羊みたいだし、いつも寝てるからいいぐらいに脂はあると思うの。それに……やっぱいいや」
「えぇ〜!?」



続きの言葉は少し恥ずかしくなって言うのを止めた。こんな風に止められたら気になってしまうのが当たり前だと思う。さっきから芥川くんは「続き!続き!」と手拍子と一緒に言っていた。そんなに聞きたいのか。

言い出したのは私だし、言っても減るものじゃないからいいか、と思った私は、芥川くんを手招きして耳元に口を近づかせた。




(好きな人の肉は美味しいに決まってる)



芥川慈郎
20110617

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