紫くんとギター




休み時間や放課後にどこからか聞こえてくるギターの音。誰が弾いてるかは見たことないから知らない。
でもこの前、偶然にも見つけてしまった。紫色の髪をした人。楽しそうに弾いている彼を見て惹かれてしまった。



「柊くん、今日もどっかで弾いてるかな」
「柊ってあの柊先輩?」
「違う違う!弟の潤くんだよ!!」
「へぇ…弟いたんだ」



興味がないように返事をする友達。まぁ、別に興味なくてもいいんだけどね。私が独占してるみたいで少し嬉しくなる。

廊下を歩いていると、いつも通り聞こえてくるギターの音。運がいいのか、近くの教室で弾いてるのを見つけた。見つけたときは、ドアに寄りかかって聞いている。バレたことは多分ない。
ドアに寄りかかって、目を閉じて聞いていたら、急に音が聞こえなくなった。不思議になって覗こうと思って顔を出したら、目があった。柊くんと。



「あ…」
「なぁ、いつもオレのギター聞いてくれてるのってキミ?」
「え、多分…」
「そうだったのか!!イェーイ!オレ柊潤、ヨロシク!キミは?」
「苗字名前、です」



「ヨロシクなー!」と言って手を握ってぶんぶん振る柊くん。私はどうすればいいか分からなくてあたふたしていた。



「そんなどぎまぎすんなって!気楽に行こーぜ!!」
「あ、はい」



何なんだこの展開は。
柊くんが隣にいて、しかも話をしていて。夢みたいだ。
話したいことを思い出したのか口を開いた柊くん。



「そういえば、名前ちゃんってどうしてオレのギター聞いてくれてるの?」
「そ、それは、何と言うか…柊くんの弾いているギターの音が好き、なんです」
「へぇ!そうなんだ!!なんか照れるなー」



顔を少し赤くした柊くん。つられて私も顔を赤くしてしまった。



「また聞きに来いよな!」



紫くんとギター



柊潤
20110610

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