お前だけじゃない
「ジローって本当にモテモテだよね」
「オレは嬉しくないんだけど」
「そうかなぁ…」
名前はお茶、ジローはジュースを片手に、ベンチに座って会話をしていた。
ここに来るまでが大変だった。ジローは色んな学年の女の子に捕まって、全然進めなかった。あんな王子みたいな人がいたらモテモテになるのは仕方ないよね、と名前は思った。
「私、一応ジローの彼女なんだけどな」
「そんなの関係ないだろ」
「みんなそれ知っててジローに近づいてたら、私怒っちゃおうかな」
「ふーん…」
そっけない反応に名前は反撃しようかと思ったが、ジローが両頬を引っ張った。
「…ぶっさいく」
「な!ジローがやったからじゃん!」
「名前だって少しは自覚しろよな。妬いてるのはお前だけじゃないからな!」
その言葉に顔を赤くした名前。
赤くした名前を見たジローは困ってそっぽを向いた。
お前だけじゃない
さくら紅次郎
20110516