チョコレート




好きな人にチョコを渡す日。いわゆるバレンタインという日が今日なわけなのですが…。最近は友チョコばかりで、学校に行ったら作ったお菓子の交換会が始まる。いや、嬉しいんだよ。嬉しいんだけど、やっぱりこういう日は貰う側より渡す側の方がテンションが上がる。

好きな人がいる。というか、その好きな人は現在私の彼氏で。友チョコよりも気合いをいれて、いや、愛を詰め込んで作ったんだけど、渡す予定の張本人がいないという事態に陥ってしまった。
クラスが違うから仕方ないかもしれないけど、全然見つからないし会えない。保健室に訪問してみたけど皆知らないって言うし、クラスの子にも聞いても知らないって答えしか返ってこない。



「はぁ…」
「あれ、名前ちゃん?」
「ふるえちゃん!」
「どうしたの?ため息つくなんて名前ちゃんらしくないよ?」



ふるえちゃんが心配してくれてるのは嬉しいけど、そこまで心配されることでもないと思って、私は平気だよっと返事をした。その様子を見てふるえちゃんは感ずいたのか、口を開いた。



「名前ちゃん…もしかして、安田くんと関係ある?」
「え!?ないないない!安田くんにバレンタインチョコを渡そうと思ってないし!!……あ」
「名前ちゃん自爆したー!バレンタインだもんね!あー!!私もイケメンに告白しながらあげたいっ!…そういえば安田くん理科室にいたよ」
「本当!?ふるえちゃん、ありがとう!」
「どういたしましてー!」



私は急いで理科室に向かった。早くチョコを渡したい気持ちもあったけど、今は早く安田くんに会いたい気持ちの方が大きかった。ようやく理科室が見えてきた。ドアの前に行き、思いっきりドアを開けた。その音に驚いたのか安田くんが振り返った。



「お、苗字」
「…」
「苗字?」
「あ、うん。安田くん見たら何だか安心しちゃった」
「そっかー…」



私は、窓の外を眺めていた安田くんの隣に行った。夕日に照らされている顔が綺麗で少し眺めていたけど、何のためにここまで来たのかを思い出して、安田くんの名前を呼んだ。



「どうした?」
「あのね、ハッピーバレンタイン」
「…チョコ?」
「うん。本当はもっと早く渡したかったけど、安田くん全然見つからなかったから」
「……ありがと、な」



少し照れながらお礼を言う安田くんを見て満足した私は、口元が緩んでいた。食べていい?って安田くんが聞いてきたから、私は頷いた。もぐもぐと食べている安田くんを見ていたら何だか私も食べたくなってきた。いや、家で味見とかしたときに食べたけど、人が食べてるのを見ると、無償に食べたくなる。そんな私に気づいたのか、安田くんが口開けてって言ってきた。言われた通りに口を開けたら、私の作ったチョコが入った。



「うめぇな」
「うん。本当に美味しい」
「自分で言うか?」
「だって美味しいものは美味しいもん」
「そうだな」



チョコレート
(ゆったりしたバレンタイン)(とても楽しかった)



安田貢広
20110216

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -