この子は誰にも渡さない




この学校一番のイケメンは、何をやるにもめんどくさそうにする、ダメダメなやつだ。
その上、自分がモテてるのにも気づかない鈍感ヤローだから、どんどんファンが増えていってる。…気がするだけだけど。


「ねぇ、美玖」
「?」
「麓介のどこ好きになったの?」
「えっ!?…あ、う、べ、別に私は藤君が好きとか…そんなのじゃ……!」
「大丈夫。私も協力してあげるから」


私が言った言葉に落ち着いたのか、深呼吸をしてから美玖はポツポツと話し始めた。



「……消しゴム」
「ん?」
「テストで消しゴム忘れたときに、消しゴムを半分切って、私にくれたの」
「へぇー…」


美玖が恥ずかしそうにうつむいていた。そんな美玖を見て私は思わず、頭をなでなでしながら「可愛い」とポツリ言った。
それが聞こえたらしいのか、美玖はもっと顔を真っ赤にしてしまった。

さっきは思わず協力するって言っちゃったけど訂正してもいいかな。


この子は誰にも渡さない
(この気持ちがなんなのか知ってしまったから)


花巻美玖
20101016

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