きす、しちゃった
私の好きな人はバスケが好きで、たまにバカっぽくて、モデルやってて、真似っこが上手い人。
そんな人だから、学校では全然近づけなくて、唯一話せるのは家にいる時だけ。私の好きな人はお隣さんだから。
「今日は練習試合だったんだっけ?」
「そうっスよ!久々の練習試合でめっちゃ楽しかったっス!」
「そりゃあ、よかったねー」
涼ちゃんがこんなにまた生き生きし始めたのは、黒子くん(?)との学校と練習試合をした後からだった。
私の力だけじゃ全然だめだって思い知らされた時は、少し泣きそうだった。
あ、今も何か泣きそう。
「ー…!…名前!」
「へっ……!?」
「どうしたんスか?ぼーっとして」
「〜〜っ」
「………!?」
その時の記憶はあまりない。
でも、唯一分かることがあった。
「きす、しちゃった…」
きす、しちゃった/黄瀬涼太
title:Largo
20100208