晴れ、陸上日和 (1/9)



青く澄み渡る空。そんな真っ青な空の下、彼達はグラウンドを風のように駆け抜ける。


ピッとストップウォッチを押しては記録を書いていく。
休憩時間になればみんなに水とタオルを手渡す。

それが私の、陸上部のマネージャーの仕事。



新学期が始まり、新たな一年生も入部した。

誰もが憧れるであろう彼は、今日も持ち前のスピードで私の前を駆け抜けていった。



「はい、お疲れ様。順調にタイム上がって来てるね」

「あぁ、サンキュー舞華」

「いえいえ」


青い髪を静かに揺らし爽やかな笑みを見せる風丸くん。私はその笑みに頬を緩ませると水とタオルを渡し、隣に座った。



「風丸さん!今日も凄かったですね!僕感激しました!」

「宮坂…」


そんなハキハキした声と共に私たちの前に現れたのは一年生の宮坂くん。彼も、風丸くんに憧れて入部した1人。


実際に言えば、私もその1人だった。


新しい制服を身に包み、入学したあの日。

きっと彼は入学した時にはもう既に陸上部に入ることを決意していたんだろう。誰よりも早く陸上部としてニ・三年生と共にグラウンドを駆け抜けていた。


まだ入部する部活も決まっていなかった私は帰ろうと学校を出る。

でも、学校を出てグラウンドを見た瞬間。私は見惚れてしまっていた。


グラウンドを風のように走り抜ける彼に。

いつの間にか吸い込まれるように彼を見つめていた。


彼のグラウンドを走る姿に憧れ、惚れて、私は陸上部のマネージャーになることを決意した。



今では楽しくて、幸せで、マネージャーに入って良かったと思っている。マネージャーになって、陸上がより好きになれた。



「よし、じゃあまた走ってくる。タイムよろしくな」

「…うん!」




晴れ、陸上日和


今日も、彼はあの日のようにグラウンドを駆け抜ける。

でも、この光景の終わりは、刻々と迫ってきていたんだ―…。


to be continued...

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