太陽と3つのかげ (4/5)
「わーい!この道も久しぶりだァ!」
陽菜はここに帰ってきてから「久しぶり」とばかり言っている気がする。別に悪くはないけれども、まだ幼さが残っているというか、本当に変わっていないなぁと思う。
俺と神童、そして陽菜とこの道を歩く。
俺たちは毎日変わらない道をただ普通に進むだけだけれど、陽菜にとったら久しぶりで、懐かしいんだろう。
1人キャピキャピとはしゃぐ陽菜に俺たちは見合って静かに苦笑いした。
「明日も部活ある?」
「明日?明日は部活休みだぞ」
「じゃあじゃあ!蘭ちゃんと一緒に拓人ん家行っていい!?」
「あぁ」
陽菜は1人「やったー!」なんて言いながらクルクルと回転する。何歳か分からないくらいの幼さに俺は思わずクスクスと笑う。
「あー蘭ちゃん笑ったー。ひどーい!」
「だって…」
ぷぅと頬を膨らます陽菜。やっぱりその癖も変わっていない。それは昔から"照れてる"証。
少し前に進んだ陽菜に俺たちが追いつくと陽菜は俺たちの間に入り腕を組む。
ぎゅーっと引っ張られるものの、やっぱりなぜか落ち着く。きっと神童も同じなんだろうと思う。何だか昔に戻ったようで自然と頬が緩んだ。
もうすぐ、1日目は終わりを告げる。
太陽はもう山へと沈みかけていた。
明日も、また3人でワイワイと騒げたらどんなにいいことだろうと思う。
太陽と3つのかげ
オレンジ色の光によって、3つのかげは真っ直ぐ地面に伸びていた。
それは、まるで今の俺たちを表すかのように、真っ直ぐ、平行だった―…。
to be continued...