待っていたよ。 (84/109)
試合が終了すると私たちは足を揃えて部室を出た。
試合が終わり番組が元に戻るとみんなはすぐに練習に取りかかる。決して諦めてはいない。今も彼らは強くなるためにずっと試行錯誤を繰り返している。
きっとあの勝利からエネルギーをもらったんだろう。円堂くん達も頑張ってる、だから自分達も頑張らなくちゃ、って。
次の日も、また次の日も練習漬けの日々が送られる。
そしてそんなある日のことだった。
ある違和感を感じたのは。
ほんの一瞬だった。感じた衝撃に私はふいに後ろを振り返った。
「どうした朝比奈…」
「え…、ううん何でもない」
感じたのは河川敷の方から。ほんの少しだけ、地響きがした気がした。気のせいだったのだろうか、いやそんなことはないと思う。彼らは練習に没頭しているせいで感じなかっただけなのかもしれない。
私はしばらく一点を見つめると再び顔を戻し、練習を再開させた。
だけど、私はずっと、どこからか私を呼ぶような声がしている気がしてならなかった。そんなことは決してあるはずはない、だが気になって仕方がなかった。
そんな衝動に反発出来なかった弱き私はゆっくりと雷門中校門へと足を向けた。
「ごめん、すぐ戻るから練習してて…」
「…?お、おう分かった…」
行かなければならない、そんな衝動に駆られ目指すは違和感を感じた河川敷。駅を抜け、荒く呼吸をすると河川敷を見渡した。
誰もいない。辺りはシンとして静かだった。
だけど…
「っ…あれは…!」
私は河川敷のコートの中央にあるひび割れを見て目を見開けた。そして感情の赴くままに走り出した。
近付くにつれ確信していくソレ。何かがめり込まれたようにぽっかりと穴が空いていてそこから地割れが続いている。それに私は目を見開くことしか出来なかった…。
「黒のっ…ボール…」
そう、コートの中央にあったもの、それは恐らくあの黒のボール。エイリア学園のボールだったのだろう。違和感、衝撃を感じたのは恐らくコレだったのだろうと諭す。
地面に空いているそれに恐る恐る近付くと、私はのぞき込むように背中を曲げる。
だがその瞬間、私は後ろから感じた気配に背筋を凍らせびくんと肩を跳ね上がらせた…。
ふいに背中から聞こえた声。不気味にも、私の震えが止まることはなかった―…。
待っていたよ。
「っ…ガゼ、ル…」
エメラルド色の瞳に、私はただただ吸い込まれていった―…。
to be continued...
第四章はエイリア篇です!ちょっと半田くんの出番は少ないです…はい。←
(2014.2.1)
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