さまよう境界線 (78/109)
私は玄関のドアにもたれかかって静かに俯いていた。拾った何枚かの紙を胸の前で抱きかかえて。
逃げてしまった。私はこうして半田くんから逃げてしまった。そのことにひたすら後悔の意を覚える。
今日、私は図書館であることを調べていた。最大限に力を発揮できるように、そしてローリングキックを完成させられるように。
私の持っている知識をフルに使って出たこの練習方法。秘伝書というにはおこがましいが言ってみればそういうものだと思う。効果があるかは分からない。でも、一生懸命考えて想像して完成させた。半田くんと仲直りするきっかけになったらな、と微かに希望を抱きながら。
だけど、どんなに半田くんを想ってやったこの行動も、言わば一種のサボリ。
風丸くんには朝一番に今日は休むといったものの、これは許される行為ではない。
会うには気まずすぎて、思うように言葉を出せずあの紙を残したまま走り去ってしまった。
「置いてきちゃったよ…」
どっかに飛ばされたかもしれない。そう思うと私は小さく息を漏らした。
本当は全部揃えたまま、半田くんに渡したかった。喜んでもらいたかった。でも、もうそれは叶わない。
私は顔を隠すようにその紙に顔をうずめた。後悔、後悔、後悔。やはりそればかりが頭をよぎる。
「明日、行けるかな…」
こんな状態で明日みんなに会えるのだろうか。もしかすると、みんなもう私のことを嫌いになっているかもしれない。
暑い中みんなは必死に練習して、私は参加していないのだから。嫌いになっても仕方ないだろう。
ごめんなさい、半田くん、みんな。
嘘ついててごめんなさい。心配かけてごめんなさい。
迷惑かけちゃって、ごめんなさい…。
今更謝ったところで、この想いは誰にも伝わらない。届かない。
私はハァと1つため息を吐くと誰もいないその静かな部屋の中へと入っていった―…。
さまよう境界線
今日も1日は終わりを告げる―…。
to be continued...
本当にお久しぶりでごめんなさい(´;ω;`)
2013.8.19
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