気付かせてくれた想い (65/109)
最近よく来る鉄塔広場。今日も稲妻町は真っ赤に燃えている。太陽の輝きが街まで移ってとてもキレイな光景。
私は風丸くんとまたこの場所にやってきた。
風丸くんと一緒に来るのは二度目。前は、風丸くんが稲妻町に帰ってきた日、いわゆる昨日。
真っ赤に燃える稲妻町は何とも言えぬ美しさだった。でも、何故か今日は響かない。おかしいな、そう思っても理由なんてただ1つだけだった。
「何があったんだ、半田と…」
ベンチに腰を掛けると風丸くんは優しい口調でそう問いてきた。
やっぱり、風丸くんは気づいていたんだ。おかしかったことを、半田くんをずっと気にしてたことを。
改めて風丸くんは凄いなぁって実感した。風丸くんは口にしなくてもしっかりと私たちを見てくれている、そして気持ちを分かってくれる。そんな細かいところまで気配り出来る風丸くんを凄く尊敬する。
今日も練習で疲れて早く帰りたいはずなのに、風丸くんなら付き合ってくれると私は甘えてしまった。でも、やっぱり風丸くんは応えてくれたんだ。
「ごめんね…時間、使わせちゃって…」
「気にすんな、俺だって昨日そうだったんだからな」
風丸くんは眉尻を下げ優しく私に笑いかけてくれて。私も自然と頬を緩ます。そしてゆっくり視線を下げると私は話し出した。
「最近…半田くんの様子がおかしくって…。風丸くんも、気付いてるよ、ね…?」
「あぁ…」
「今朝もね、半田くんが「風丸くんとアイツ」って気にしてて…」
「俺?」
「うん…。アイツって誰かは聞けなかったんだけど…」
そう言い終えると風丸くんは「うーん」と考え込むように口元に手を添えた。そして風丸くんも黙り込むと沈黙が訪れた。
その沈黙の中、私は考えていたことがあった。
私はもう一つ、気になっていたことがある。それを風丸くんに相談しようか私はちょっと悩み込む。でも、こうなったら話してみようと半ば自棄のように決めると私はその沈黙を破った。
「あのね、あと…最近私、半田くんに避けられてる気がするの。嫌われちゃったのかなぁ…」
目があってもプイと逸らされてしまったり、まるで話しかけないでほしいと言ってるかのように半田くんは私から離れている気がした。それが悲しくって虚しくって、1人で抱え込めるモノではなかった。溜めてしまえば、自分への抑制に歯止めが利かなくなり己が壊れてしまいそうだった。
風丸くんは何も言わなかった。反応してくれない風丸くんを不思議に思いながらも彼を見ると私は目を見開けた。
「朝比奈って…本当に半田が好きなんだな」
「……え?」
その風丸くんの台詞が何度も何度も頭で木霊される。その言葉が何を意味するのか、今の私には全く理解出来そうになかった。
半田くんが…、好き?
私が?
今まで何も感じたことがなかった、知らない恋心。いや、感じたことがなかったんじゃなくて、感じたことに気付けなかった、ただそれだけだったのかもしれない。
いつの間にか抱いていた恋心。風丸くんの台詞でやっとそれに気付いた。私は驚きすぎて目を瞬きさせることしかできなかったんだ。
「もしかして…違った?」
「へ!?」
「ごめん、俺…余計なこと言っちゃったみたいだな…」
「ちっ、違うの!そうじゃなくて…」
自分が言ってることが妙に恥ずかしく感じて。私はぼっと顔を赤らめさせる。それに風丸くんはクスクスと笑った。
「無自覚だったってことか…。きっと好きなんだと思うぜ、半田のこと…」
「う…、うん…」
好き、好き、好き。
その二文字がぐるぐると頭を渦巻く。
私は、半田くんが…好き。
そう肯定させると何故か、心が軽くなった気がしたの。
私は、知らないうちに半田くんに惹かれていた。そう気付くと今までモヤモヤしてた想いの意味が全て分かった気がしたの。
「うん…。好き…半田くんが…」
そしてもう一度、"好き"という言葉を口に出すと、気付けなかった恋心はみるみる湧き上がってきた…。
気付かせてくれた想い
もう、目は逸らせない。
そう感じた―…。
to be continued...
ついに来ましたね、ヒロインちゃんの気持ち。
むしろ遅いくらいですね(笑)
風丸は好きだ。彼は動かしやすい←
ということで更新ペース遅くて申し訳ありません…!!
頑張ります!!
2013.2.3
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