夕日に映る2つの影 (59/109)
「風丸くーん!」
私は手を振りながら校門の前に立つ風丸くんの元に駆け寄った。風丸くんは私に気付いて預けていた背中を門から離す。
「ごめんね…待たせちゃって…。行こっか」
「あぁ…」
向かうは鉄塔広場。前に真っ直ぐ伸びる2つの影を見つめながら私たちはそこへ向かった。
登って行けばつい最近見た稲妻町。そんな光景を前に私はベンチに腰掛けた。それに合わせて風丸くんも腰を下ろす。
「何か…思い詰めるようなこと…あったんだよね…」
「……」
横目で風丸くんを見るが風丸くんの瞳はゆっくりと地面に落ちていく。
それに小さく口に弧を描かせると私は真っ直ぐ前を向いた。
「話す気になった時でいいよ。私はずっと待つから…」
私は待つ。佐久間くん達に言ったように、私は言えるようになるまで待つ。
聞くことにより、少しでも彼の気持ちが楽になるのなら、私は喜んで相談相手になる。
「怖かった…んだ……。アイツの…ヒロトの、目が…」
「ヒロ、ト…?」
でも、今回は前とはちょっと違った。
そのワードが聞こえた瞬間、私の胸は嫌な感じにドクンと大きく高鳴った。
前にも感じた。瞳子監督が来たときも感じた思い。いや、今回はそれ以上だった。
それでも振り払うように軽く頭を振ると、風丸くんの話を聞くべく彼の方に目を移した。
「助けにいけなかった…。怯んで前に進めなかった…。自分の力が…ちっぽけに感じた…」
"自分は弱いんだって実感したんだ"
そう言葉を紡ぐと風丸くんはゆっくりと天を仰いだ。
「ずっと…1人で抱えてたんだね…。ごめんね…気付けなくて…」
「いいんだ…。ここに帰って、気付けたことがいっぱいある。朝比奈のおかげで大切なことに気付けたんだ。もうみんなの所には帰れないけど…俺はもう一度ここで戦う」
「風丸くん…」
「心配かけてごめんな。明日から、また頑張る」
「うん…うん!」
もう、今の風丸くんなら大丈夫だと思った。何度挫けても諦めない。それが雷門のいいところ。それはしっかりと彼にも滲んでいる。
私は風丸くんに微笑みかけると、風丸くんも小さく微笑み返してくれて、風丸くんはぎゅっと私を抱きしめた。
「ありがとう…朝比奈…」
「うん…」
また、ズキンと頭痛がした。だけど私は気にしない。
私はゆっくり目をつむって風丸くんの体温を感じた…。
夕日に映る2つの影
気になることはあったけど、また1つ私も彼からエネルギーを貰ったんだ―…。
to be continued...
不穏な空気がね、ふふふ(^O^)
これからがすっごく楽しみになってきますね!!(私自身が)
ヒロトヒロト!!
エイリアふふふです←キモイ
ではでは、次回もまったりと待っていただけたら嬉しいです!
2012.11.1
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