取り戻そう (5/109)



「円堂くーん!」


稲妻総合病院を丁度出たとき、円堂くんと秋ちゃんの後ろ姿が見えて。

私は手を振りながら2人の元まで走っていった。



「おう、楓香。もういいのか?」

「うん、もういいの!」


にっと笑うと円堂くんも笑い返してきてくれて。でも、秋ちゃんはずっと浮かない顔のままだった。そしてその浮かない顔のまま、そっと秋ちゃんは口を開けた。



「どうしたの?何だか辛そうな顔してる…」

「え?」


どんな顔をしていたのかいまいち自分では分からず、思わず腑抜けた声を漏らしてしまった。


でも心情を悟られまいと私は「何でもないよ!」と言うと笑顔を秋ちゃんに向けた。



「そう…ならいいんだけど…」

とあまり納得のいっていない様子の秋ちゃんだったが、それでも私は笑顔を続けると2人の横に並んだ。



「行こう、雷門中!」


そして私達は一緒に、雷門中学校へと足を向けた―…。



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円堂くんは壊れた部室の中へ入ると、しばらくしてからやっぱり苦悶の表情のまま出てきた。


私達は何も出来ず、それを見守ることしか出来なかった。



その壊れた部室を見れば、昨日起こったことが本当なんだって実感して。悲惨な状態が嘘じゃないんだと私達に物語っていて。何も出来なかったことに今更ながら悔やんだ。


ぎゅっと体の横で握り拳を固めた時、ガサガサと服の擦れる音と共に足跡が聞こえた。


気付けば周りには豪炎寺くん、鬼道くんに春奈ちゃんもいて。



「やっぱりここにいた」

「夏未さん!」


そして夏未さんも3人と同時に姿を現した。



どうして、みんな―…。

部室だってグチャグチャで、練習なんて出来る状態じゃなかった。なのになんで…。



「めちゃくちゃとは分かっていたけど…気になるわよね」

「……っ…」


そう言うと夏未さんは落ちていた『サッカー部』と書かれた札を拾い、パンパンと砂を払った。

そしてそれをじっと見つめると一瞬だけ、浮かない顔をした。



今、夏未さんも私達と同じことを考えたんだろうか…。


そう思うと、夏未さんの表情を見た私も顔を歪ませてしまった。




「俺はエイリア学園を許さない」


「…!」


後ろからそう円堂くんの声が聞こえて来て、私はゆっくりと振り返った。



「サッカーは何かを壊したり、人を傷付けるためにやるんじゃない。宇宙人に本当のサッカーは何か、教えてやる!」

「円堂くん…」


私はその円堂くんの台詞にパァっと笑顔を浮かべるとうんうんと大きく頷いた。




取り戻そう


みんなで。


本当のサッカーって、何かを―…。



to be continued...

半田くんはまたしばらく会えないです(´;ω;`)
とりあえずアニメに沿ってくだけなんで、今はつまらないかもです(;´д⊂)

2012.2.18

[bkm]

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