非日常から日常へ (50/109)
上機嫌な私は鼻歌らしきものを口ずさみながらドーナツを口にしていった。
みんなも食べていて落ち着きだした頃。マックスは突然口を開いた。
「ねぇ朝比奈。朝比奈はさ、なんで僕たちが退院するって知ってたの?」
その言葉で私よりも先に反応したのは半田くんだった。
ゴホゴホと噎せるように咳をすると近くに置いてあったジュースに手を伸ばす。
「半田くん!大丈夫!?」
「ケホッ…。ん、大丈…夫…」
私は食べかけのドーナツを机に置き、半田くんに駆けつけた。未だにケホケホと噎せる半田くんの背中をさすっているとマックスは意味ありげに笑みを浮かべた。
「ふーん。半田が教えたんだ…。だからあんなにソワソワしてたんだね」
「…っ…!なっ…!」
何のことかいまいち分からない私は首を傾げる。でも半田くんとマックスは通じ合っているようで会話を続けていた。
「そーだよねー…そりゃあ気になるか、携帯」
「だから違っ…」
「ふふーん。違わないくせに」
何が何だかさっぱりである。でも淡々と進められていくその会話に私は着いていけずとも「ははっ…」と小さく乾いた笑い声を上げた。
いつものように、この病室には笑い声が響いていた。
でも、きっと3日後のこの時間にはもう、彼らの笑い声は響かないんだろう。
退院まで、ほとんど日にちはない。日常になりかけていた日々はもうすぐ終わりを告げる。
嬉しい反面、もうこの病院に頻繁に見舞いに来ることはないんだと思うと少し寂しさも募った。
でも、メンバーは少ないけれどまたいつもの日常が来るんだと思うとやっぱり幸せなんだと感じる。
早くその時間が来ないかなとじれったさに浸りながら私は彼らの会話に耳を傾けていた―…。
非日常から日常へ
もうすぐ、終わりを告げる鐘は鳴る―…。
to be continued...
最後の表現何かとお気に入りだったり…。
次からは普通の生活も終わります!!
長かったような短かったような…。
病院生活楽しかったです(もちろん執筆するの笑)!!
そして次はいよいよ50話!!ちょっぴり甘を盛り込んでいく予定、です…。
ではでは。
2012.9.5
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