強くなるんだ (44/109)

【佐久間視線】


「強く、なりたい…。もっともっと…身体も…精神も…」


何もかも、無意識だった。

強くなりたい、その想いも無意識のうちに口走っていた。


あんなことがあって、本音を言えば強くなるのは恐れていた。

またあんな想いを、また知らないうちに間違った道に進んでしまうんじゃないかと、怖かった。


でも、また知らないうちに"強くなりたい"

そう思ってた。



「サッカー…したい…。もう一度…鬼道と…みんなと…」


鬼道と…あの時の帝国のみんなと、またサッカーがしたいって思った。


己が壊したこの身体。

でも、それでも、まだ諦めたくないって思った…。

サッカーすることを諦めたくないって、もう一度あのフィールドに立ちたいんだって。



「ほら…ちゃんと想い、伝わったんだよ…。強くなりたい、サッカーしたいって…」


この女、朝比奈楓香は俺の右手を握り、涙ぐんだ目で言った。

俺に、俺たちに、温かな笑顔を浮かべて…。



「諦めなければまたサッカー、やれるようになるよ…。私も、きっと鬼道くんも、ずっと…待ってるから」


ぎゅっと圧力を感じる右手からこの女の強い想いが伝わってきた。


ゆっくり治していこう。

そうあの瞳が語っていた。羨ましくもキラキラと輝く、目の前にいるこの女の瞳が。




「………ありがとう」



そして、俺はもう一度この女の手を握り返した…。


"待ってる"

その言葉を信じて―…。




強くなるんだ


待ってくれている仲間の、アイツのためにも―…。


to be continued...

意外と恋愛フラグ立たなかったんじゃ((

源田くんが空気ですが絡ませたかった佐久間くんが出来て良かったです(^O^)
またどこかで出せられたらいいなぁ、と。

2012.8.14


[bkm]

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