二度目の悲劇 (39/109)
私は驚いた。偶然その前を通ったにしろ、その病室は私の知っている彼たちだったから。
見覚えのある2人の名前。
その2人の名前を見たとき、小耳に挟んでいた噂が耳が痛くなるほど聞こえてくるようだった。
"佐久間 次郎"
"源田 幸次郎"
そう、あの噂の人とはこの2人のことだった。
名前を見た瞬間、すぐにそう察することが出来た。
風丸くんから聞いていた。真帝国学園戦の悲劇は。壊れそうなくらい胸に鋭く突き刺さる話だった。
影山を信じ、強くなることだけを求めた彼ら。悲劇に見舞われた彼たちが今、このドアの向こうにいるのだ。
私はゴクリと唾を呑んだ。なぜか心臓がけたたましく音を鳴らす。
きっと、今この向こうでは苦しんでいるんだろう。身体はもちろん、心も。
あの時の半田くん達同様、きっと今、彼らを支えている者はいない。
鬼道くんからは聞いていた。帝国学園ではマネージャーという者を募集していない、と。
学力も実力も雷門中とは桁違い。設備だって完璧なはず。
その完璧の状態だからこそ、マネージャーという者は必要ないんだろう、彼らには。
でもその完璧が崩れている今の状態では、支えるものはきっと何もない。
そんなことが走馬灯のように私の頭を駆け巡った。きゅっと唇を噛み締め、私は目の前のドアに手を掛けかけた。
でも、なぜかその先へと進むことが出来ないでいた。
雷門のみんなの時とは全く違うこと。それは彼らとの関わりが少ないということだった。
厚かましいんじゃないか。迷惑なだけなんじゃないか。
そう思えば思うほど、後ろ髪を引かれるようで私は前へとは進めなくなった。
でも、そんな時。
私の頭には彼が浮かんだ。苦しそうな表情を浮かべた、彼が。
「朝比奈、…どうして。俺は…、ここは…っ…」
ジェミニストーム戦の後、病院へと運ばれた彼ら。彼らは辺りが暗くなり始めてもなお、目を覚ますことはなかった。
そんな中、目を覚ました1人の少年。その少年は私の手をぎゅっと握り、そう言った。
その時の辛そうな、悔しそうな表情は今もなお鮮明に残っている。
暗くても、どんなに掠れた声でも、忘れることのない、小さく映った彼の姿。
その彼の姿を思い浮かべた私は、もう迷いはなくなっていた。
小さく握られたその手は、目の前のドアをコンコンと二回叩く。
そしてガラリと開けると、目の前の光景に静かに胸を痛めた―…。
二度目の悲劇
もう逸らさない、私はそう決めたんだ―…。
to be continued...
はーい(^O^)
フラグが立った1人。それは佐久間でした!!
完全に某憧れサイト様の影響(笑)
絡ませたいという衝動に駆られまして…。ついついやってしまいました!!
ちょっと半田くんが出なくなりますが…。今回みたいにちょいちょい話に出てきます彼!!
やっぱりここは半田くん中心サイトですもの!!
でもちょっぴり寄り道もいい…よね…(笑)?
2人が稲妻町に戻ってきている、っていうのは完全に話進める都合上です、はい…
2012.8.3
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