独占欲。 (35/109)
【半田視点】
「朝比奈は本当に優しいな」
風丸が朝比奈に向かって放った言葉。
朝比奈は聞き取れなかったようだが、何故だか妙に俺の耳には残った。
別に優しくしてくれるのは俺だけなんて思っちゃいない。
朝比奈が優しい性格だなんて前々から分かってたこと。
でもどこかで自惚れてたんだろうな。
俺はその台詞の後、意味もなくボーっと2人を見つめていた。
こんなにも近くにいるのに、今は朝比奈が遠い…。
一番近くは俺じゃなくて、今は風丸。
俺の目には朝比奈は映っているけど、朝比奈の目には俺なんか映っていないんだ。風丸しか、今の朝比奈には映っていない。
それが悔しい。虚しい。
笑いあう2人がお似合いだなんて、思いたくないけど思っちゃう。
それくらい、たった2メートルもないのにもっと距離を感じる。
俺には踏み込めない世界に、今2人はいる。
悔しい、悔しいけど、今の俺にはどうすることも出来ない。
あぁ、今俺、どんな顔してるんだろう。
2人のことを考えるのが、朝比奈のことを考えるのが辛くて、自然と思考が別の方向へと向く。
逆にそれはそれでいいのかもしれない…。考えるだけ辛いだけだから。どうしようも出来ないのに、考えるだけ無駄なんだ。
あぁ、初々しい。
ほら、また考えてる。なんで、またこうして俺は朝比奈のことを考えてるんだろう。
さっき、本当にさっき考えないって決めたはずなのに…。
独占欲。
いつの間にか、そんな感情まで芽生えていたなんて。
俺もずいぶん惚れてるもんだな―…。
to be continued...
最初に言っておきます、
ヤンデレまでには発展しませーん!!ジャンルが変わってしまう…(笑)
まさかのちゃんとした会話がないお話でした!!
ちょっと短いので二話!!お次へどーぞ!!
2012.7.19
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