側にいるよ (29/109)



外からボールの音がして。それを聞いた私は急いで病院を出た。



「半田くん!ダメェ!」


病院を出て見れば予想通り、そこには1つのボールを蹴る彼の姿があった。

再びそのボールを蹴ろうとする彼を止めようと大きな声を張り上げた。



「しまっ…!」

「半田くん!」


その声に驚いてなのか、半田くんは後ろに仰け反るように地面に倒れかけた。

素早く走りなんとか支えたものの、やっぱり半田くんの様子はおかしかった。


震える唇を無理やり抑えようとしているのか。ギリッと歯を食いしばると手に力を入れた。



「強く、なりたいんだ…。こんなんじゃ…っ…」


そしてその台詞と共に半田くんはボールを蹴ろうと再び立ち上がった。私はすかさず半田くんを止める。



「半田くん…今は無理はダメ…」


どんなに練習したいという想いが強くても、私には半田くんを止めることしか出来なかった。

こんな状態だからこそ、私は練習をするのを許可することは出来なかった。



「ねぇ半田くん…。」


そして私はにこっと微笑みかけるとそっと言葉を紡いだ。



「今は練習出来ないかもしれない。でも、いつかもっともっと強くなって…みんなを笑顔で迎えよう…?」


「朝比奈…」


「だから今は怪我を治すことに集中して、治ったら目一杯練習しよう!私、付き合うから、ねっ?」


強くなってほしい。その気持ちは私にだってもちろんあった。

出来るのなら、今すぐキャラバンのみんなの元へと行ってほしい。

でも、それが出来ない今だからこそ、私はこうして残った。残った以上、私は彼らの元で、彼らのマネージャーとして仕事をする。それが私に出来ることであり、私に課せられた使命。




「……ありがとう」




側にいるよ


私は、ずっと、ずっと―…。



その時、一瞬チクリと頭痛がした。

この身体の違和感に気付くのは、もっともっと先の話―…。


to be continued...

大事な場面だと思ったんでヒロインちゃん視点も!!

そして最後の頭痛の件はもっともっと先の話です、本当に本当に。
きっとみんな忘れちゃうんじゃないかなってくらい先の話です(笑)

むしろ忘れてもらって構いませ((


2012.6.24

[bkm]

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