聞き慣れた音 (27/109)



私は半田くんを探すため勢いよく病室を出た。


大袈裟なのかもしれない。ただ、私が心配性なだけなのかもしれない。

だけど探したいという気持ちは抑えられなくて、こうして私は病室を飛び出した。



「半田くん、どこ行っちゃったのかなぁ?」


でもやっぱり私は女の子。男の子のトイレを確認することなんて出来なかった。

反対に覗いたら変態…!なんて思いながらトイレの横を通り過ぎていく。もう一度言うよ、トイレは覗いていません!


結局探せられる所なんて限られているし、半田くんが行きそうな場所なんてはっきり言えばよく分からなかった。



「あーもう半田くん!どこにいるのー!?」


そう叫んだって半田くんが現れるはずはなかった。

なんだかやるせない気持ちが溢れ、ふとまた窓の外を見た。
西に傾きかけていたあの日はオレンジ色を増していて。あの時よりも時間が経っていたことを示していた。



「もう、暗くなっちゃうのに…」


どうすることも出来ず、自分の無力さにただただため息を吐いた。


再び窓を見てみれば、サーッと風が吹いたのか、外にある木が心地よい音を鳴らして揺れていた。



「……っ…!」


耳を澄ましたわけでもない。注意深く聞いていたわけでもない。


でも、その心地よい音と共にどこからかボールが壁に当たる音が聞こえてきた。



規則的に聞こえてくるその音は、間違いなくつい最近まで近くで聞いていた音で。



「ま、まさか…!」


その音の根源を理解した私は大きく目を見開けると無我夢中で走り出した。




聞き慣れた音


それは、私たちが大好きな

あの白と黒のボールの音―…。


to be continued...

いわゆるサッカーボール(言わないでも分かるっ!!ですよね笑)

ふふふ、だんだんやりたい場面が近づいてきてワクワクですっ!

未だ行方不明半田。次回は分かりますー!!
2話連続更新出来たらなぁ〜…。

2012.6.22

[bkm]

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